<温石(おんじゃく)>
平安時代末頃から江戸時代にかけて、石を温めて真綿や布などでくるみ懐中に入れて胸や腹などの暖を取るために用いた道具で、カイロのルーツともいえます。
漢方医学の世界においては、温罨法(おんあんぽう)に用いられました。戦国時代の医学書に温罨法についての記載があり、大きく分けて3つの方法があります。
- 水温法(すいおんほう)
- 砭石(べんせき)を熱してそれを水中や薬液に投じてお湯として、その湯で患部や局部を浸す。
- 火煨法(かわいほう)
- 砭石を火の気が残った灰の中に投じて、熱した砭石を患部や局部に当てる。
- 蔵身法(ぞうしんほう)
- 火で暖めた石を身に付けて、長くその熱で補養する。温石のルーツにあたる。
この中の「蔵身法」が温石のルーツとなっておりますが、今日の岩盤浴なども原理的にはこれに近いといえます。
また、禅寺で修行僧が空腹や寒さをしのぐため温石を懐中に入れたことから、茶の席で出す一時の空腹しのぎ程度の軽い料理、あるいは客人をもてなす料理として「懐石料理」と言われるようになったという説もございます。
このように温熱は昔から医療に世界においても文化的な歴史を持っており、日本の文化と密接な係わりを持っております。
ー引用ー
「温石」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より
2014年3月23日(日) 14:20 UTC
「温罨法」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より
2014年5月27日(火) 14:37 UTC
<懐炉灰>
明治時代には、麻殻や殿炭粉を袋に詰め、または練って容器の中で燃やす「懐炉灰」が使われるようになりました。
<ベンジンカイロ>
大正時代にはいると、ベンジンの気化ガスと白金の触媒作用を使って燃焼させる「ベンジンカイロ」が登場し、一般的に使われていました。
<現在のカイロ>
現在のカイロの原型は1950~1953年頃までさかのぼります。
寒い朝鮮半島で戦うアメリカの兵隊は水筒のような容器に鉄の粉と食塩を入れて保温具として利用していました。鉄の酸化による発熱を利用したものですが、それを日本人が工夫して、現在のカイロが生まれました。
そして1978年に、袋から取り出して振るだけで温かくなる「使いきりタイプ」のカイロが商品化されると瞬く間に普及し、ベンジンカイロに取って代わりました。
フェリックは1978年にカイロの技術を確立し、医療用カイロを中心に技術革新してまいりました、昨今においては医療費高騰の問題も大きいことから、予防医学的な観点でも世界的にも温熱医療は注目されつつあります。